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Café yakhtarが紡ぐ物語 第10話【ある家族の物語】 前編
夜の静けさがCafé yakhtarを包む。ステンドグラスのランプが柔らかく光を落とし、異国の香りを漂わせるキャンドルが、店内にほの暗い暖かさを添えている。 空は窓の外の夜景をじっと見つめ、微かに胸を震わせていた。その空を、マスターは静かに見守ってい... -
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Café yakhtar紡ぐ物語 第10話【ある家族の物語】 後編
氷の入ったアイスコーヒーを静かに口に運ぶ男性がグラスを置いたとき、ドアのカウベルがカランと鳴った。入ってきたのは、40歳を過ぎた落ち着いた女性だった。女性は一瞬ためらったようにドアに手をかけるが、すぐに決意を固めるように店内に踏み入れた。... -
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Café yakhtarが紡ぐ物語 第11話【前編】 巡り合わせ
細い糸のような雨が、途切れることなく降り続けている午後。 いつものようにハンギングチェアでくつろいでいた空が、ふと誰かに呼ばれたような気がして外を見た。 カフェの前には、一人の女性が傘を差し、うつむき加減で立っていた。その姿は、今にも消え... -
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Caféyakhtarが紡ぐ物語 第11話【後編】巡り合わせ
「医者は言いました。22週目を迎えれば、赤ちゃんが生きられる可能性があると」 その言葉に一瞬、希望の光を見た。あと少し頑張れば、この手に抱けるのだと。 「でも、羊水が止まらないままでは赤ちゃんが苦しい。私もずっとベッドで絶対安静…」 それでも... -
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Caféyakhtarが紡ぐ物語 第12話 空と涼子の再会編【前編】
空がCafé yakhtarに来てから、どれくらいの時間が経ったのだろう。 もうずっとここにいるような気もするし、つい昨日からいるような気もする。 今日みたいに冷たい雨が降る日は、どうしても心がざわめく。 胸の奥に重い石を飲み込んでしまったように、気持... -
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Café yakhtarが紡ぐ物語 第12話 【中編】 空と涼子の再会
カウンターの席に着き、アイスコーヒーを注文した涼子は、しばらく黙って窓の外を見つめていた。雨音は依然として続いているが、先程よりは小さくなり、少し薄日も差してきている。 そんな暗い雲の輪郭が、雲の後ろに隠れている太陽のおかげで金色に縁取ら... -
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Caféyakhtarが紡ぐ物語 第12話 【後編】空と涼子の再会
涼子が小さな机で震える手を抑えながら便箋に文字をつづったのは、兄の居場所がわかってから、しばらく経った頃だった。 電話では拒絶されるのが怖い。 けれど、手紙なら返事がなくても「届かなかったのかもしれない」と言い訳できる。そんな淡い期待と祈... -
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Café yakhtarが紡ぐ物語 第13話【前編】涼子からの手紙
空と涼子が去ったあと、Café yakhtarはいつもより静かで、どこか広く感じられた。 マスターもカウンターの奥で、少し所在なげにカップを磨いている。 そんな午後、ひとりの男性が店の前に立っていた。 作業着を着て、無精ひげを生やし、何となく場違いな雰... -
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Café yakhtarが紡ぐ物語 第13話【後編】幽霊に会えるCafé
トルココーヒーの上澄みにそっと口をつけ、一息ついたあと、彼は再び口を開いた。 「最近、涼子……あ、妹の涼子から手紙が来たんです。最初は放っておいた。何を今さらって。でも気になって読んだら、養父母が俺への手紙を全部握りつぶしてた。涼子もずっと... -
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Café yakhtarが紡ぐ物語 最終回【前編】別れと始まり
夜更けのCafé。マスターはひとり、磨き上げたカップを静かに並べていた。ふと、カウベルの音が「カラン」と鳴り、夜気とともに懐かしい香水の香りが漂い込む。顔を上げたマスターは、思わず手のカップを落としそうになった。 そこに立っていたのは、ずっと...
