この前、ふと物置になっている部屋の本棚を見たら、小さい時に何度も読んで、そのたびに泣いていた本を見つけました。
「あ~。引越しの時に捨ててなかったんだぁ」と思うのと同時に、多分、この本はずっと処分することはできないだろうなぁと思いました。
今回は、猫田の思い出話にお付き合いくださいませ。
100万回生きた猫
猫田が忘れられない絵本は、佐野洋子さんと言う方が文と絵を描いている「100万回生きた猫」という本です。
いつごろ、誰に、どうしてもらったのかなどは、全然覚えていません。
猫田は、小さいころから本が大好きで、とにかく本ばかり読んでいる子どもでした。
これは、近所に同じ年頃の女の子がいなかったことと多分、人とうまく接することができなかったのかもしれません。
家も学区のはずれで、当時は集団登下校というものもなかったので、いつも一人で学校に行っていました。唯一ともいえる友達は、学校の前のマンションに住んでいたので、その子の家に寄ってほんの数分を一緒に登校していただけです。
行きも帰りも途中まで本を読みながら歩いていました。
そのため、よく人にぶつかったと思って「すみません」と謝って顔をあげたら電信柱だった…なんてこともあるくらい。
きっと、近所の人は、「ちょっとねこちゃん、大丈夫?」と思っていたかもしれません。当時、私が大人だったらどうしていただろう…と思います。
今なら、声を掛けたら変な人って思われるかもとか考えちゃうだろうし…でも、当時は、「本好きの子どもなんだな」で見守られていたんだと思います。
何しろ、生まれも育ちも現在も、同じところにいるので、猫田が知らなくても、他の大人たちはみんな知っているような環境でしたから。
で、小学校に上がる前か小学生になったころに出会ったのがこの「100万回生きた猫」でした。
簡単なあらすじ
100万回生きた猫という本は、タイトルのとおり、100万回生きて100万回死んだ立派なトラ猫の話です。
100万回の中には、サーカス団のマジシャンや船乗り、女の子、おばあさんなどいろいろな人に飼われていました。
そして、そのたびに死んで、飼い主は大泣きをするのですが、トラ猫は、悲しくないので1度も泣きません。
あるとき、トラ猫は誰の飼い猫でもありませんでした。そう、野良猫になったのです。
野良猫でも立派なトラ猫だから大モテ。
そこで、知り合った白い猫と幸せな生活をして…
という感じの絵本です。
この本は大人のための絵本…だと思う

このブログを読んでくださった方が興味を持って本を手にしてくれるかもしれないので、最後は書きませんが、多分、この本は、子どもに向けたように書いてありますが、大人に向けて書いてある本だと思います。
どんなに生きても、どんなに周りが愛してくれていても、自分が愛していなければ、心は、最後のピースがないパズルみたいになんだなと。
そして、実は、トラ猫を愛していると思っていた飼い主たちも、本当はトラ猫じゃなくて、トラ猫を可愛がっている自分を愛していたのかもしれない…それを知っていたトラ猫は、だから何度死んでも一度も悲しくなかったのかも。
そして、自分自身も好きになれなかったトラ猫は、他の猫や人、生き死ににも興味を持てなかったけれど、白い猫と出会い、きっと、初めて生きることができたんだと思います。
小さい頃は、単純に100万回生きた猫の100万回の死に方に泣きました。死んでしまうということが本当に可哀想で。
でも、大人になって読み直すと、他者を思いやる気持ちを持ち、自分も幸せだと感じられたら、きっと、別れがどんなに悲しくてもいつかは受け入れて、静かに自分の人生を終わらせられるんだよとこの本は、いっているのかなと思うようになりました。
アラ還になっても、人生迷子みたいな状態になっている猫田なので、このトラ猫のようになるには、200万回くらい生きて死ななければならないかもしれないけれど、最後の最後は、このトラ猫のようになりたいなと思っています。
今回は、ちょっとしみじみしちゃいました。
皆様にも、子どものころ、大好きだった本はありましたか?
ぜひ、一度読み返してみてはいかがですか?
きっと、あの頃の気持ちを思い出して、今の自分を見つめる良い機会になるかもしれませんよ。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
ではでは。