猫田家の猫は、みんなもらってきたり保護してきた猫ばかりです。今まで飼っていて虹の橋を渡ってしまった子たちもみんなそうです。
だから、猫田家は、猫は拾うもの、保護するもの、貰うものって思っています。
そんな中でも、異色な経歴を持っているのが、猫田家唯一の男子猫「たろさん」です。
今日は、たろさんが猫田家に来た時のお話をしましょう。
ねこ、伊香保温泉に行く
まず、今から4年前の話です。
ねこは、小学校、中学校からの親友2名と伊香保温泉に行く計画を立てました。
もはや、この年になると親友といえるような友人はとっても数が少なくて、本当の親友というのはこの2人だけ。
猫娘にも「ねこが死んだらこの2人だけに連絡してね」って言っているほど。
でも、なかなか時間の調整が取れず、やっと実現した伊香保温泉。
現実には、伊香保名物の階段を目の前にたたずむ3人でしたが、意を決して伊香保の階段を登っていました。
伊香保に行ったことがある人は、ご存知だと思いますが、階段を登り切った!と思ったら、横にさらにちょっと坂と会談があって伊香保神社があります。
メインから外れて少し、裏に入るイメージかな。
紅葉がキレイだったから季節は秋。
「やっとたどり着いたね~。」と3人で橋の写真を取ったりしていたら、足元にすり寄ってくる小さな動物。
見るとねこの大好物の猫。スリスリしてきて、膝の上まで乗ってくる~。可愛い!
とりあえず、猫を見ると動かなくなるのを知っているので、親友2人は静観。
で、おもむろに立ち上がるねこ。
「この子のえさを買いに行こう!」やっぱりって顔をする2人。
伊香保名物の階段を下りている途中に、コンビニとかお土産屋さんとかないかな~と思いながら降りて行ったけれど、猫が食べれそうなものは売ってない!
結局、階段を降り切ってさらに先に進み、コンビニで鯖の水煮缶を買って元の場所へ。
そう。また、階段を登り切って裏に回ってみたのですが、もう猫はいませんでした。
あきらめきれないねこは、しばらくウロウロ猫を探して回ったのですが、その日はあきらめて旅館へ。
そのとき、気づいたのですが、伊香保の裏は空き家ばかり。
「一応、寒さはしのげるな」と確認して戻りました。
伊香保2日目
旅館で美味しいお料理と温泉を堪能したねこたち。
翌日は、有名な温泉饅頭のお店へ。早く行かないとと売り切れるというので、早めに起きて伊香保神社のほうへ…
そう、目当てのお店は前日、猫を見つけたところの近くでした。
しっかり、昨日買った鯖の水煮缶を片手に、もはや気分は猫探し体制のねこ。
温泉饅頭を買うのに並びつつ、猫を探し、無事に温泉饅頭をゲットして猫さらにを探し…
見つけた!やっぱり近寄ってきた。
やっと、鯖の水煮缶をあげたら、ものすごい勢いで食べてくれました。
他にも猫がいるかもと思って、探したら、ちょっとシャムっぽい子がいたので近づくと逃げるので、残りのサバの水煮を投げてあげました。
今日だけ、ちょっとだけでも、美味しいものが口にできたら…
通りすがりの野良猫に餌をあげるのは、ねこの自己満足かもしれません。また、夜にはお腹が空くんですから…
それでも、やっぱり、助けてあげたい。その日だけでも。
「ごめんね。ねこにできるのはこれだけだなぁ」って猫に謝って家に帰りました。
予想外の展開!
家に帰って、ダメだろうなぁと思いつつ、猫娘に伊香保であった猫の話をしました。

とっても痩せてて可哀想な子猫だったよ。額に誰かに蹴られたのかケガをして血が出てたよ。もうじき、伊香保は雪が降るから、寒いし、あの子は死んじゃうね
とモーレツに可哀想アピールをしながら話したら



探しに行こう!保護しよう!会社を休むから電車を調べる!!



なんと!
こりゃすごいと思いつつ、あの猫を保護してあげられるかも!とねこも盛り上がり、隣に住んでいる弟とnekotaママに話に行くと弟が、
「明日は休みだから車を出してあげるよ!」
なんと!ここに神様がいるぞ。
そして翌日の早朝、伊香保にねこと猫娘、弟と向かいました。
そして、ねこが会った場所を中心に3人で手分けをして探すことに…
でも、そう簡単に見つかるわけありません。
3時間くらい、寒い中、すれ違う人に挙動不審に思われつつ谷間や空き家などを探し回り、もう無理かなぁと思い始めたとき、弟から
「それっぽい猫がいるから見に来て!」と電話が。
猫娘にも連絡して行った先は、温泉旅館の裏にある駐車場。
弟が、奥のほうを指さして
「あれじゃない?」
確かに、それっぽい猫がいる。



おいで
と猫娘が声をかけると、壁伝いにやってきました。



たぶん、この子だよ
と言った瞬間には、持ってきたゲージに猫を入れる猫娘。
それから、ダッシュで車に戻り、一路、家へ。
今、考えると、もしかすると保護猫活動をしている人たちがいたのかも。その場合は、一言声をかけるのが礼儀だったのかも…でも、そんなことは考えもせずに、2時間半かけて家に帰り、そのまま動物病院へ。
ついでに、弟は、せっかく伊香保に来たのだから、せめて足湯だけでも…とと思っていたらしい。
動物病院での診察
保護猫活動にも力を入れていて、治療の腕も確かと評判の動物病院で、事情を話し、診察をしてもらうと、歯の具合から、1歳以上の子。子猫と思ったのは、栄養が足りず大きくなれなかったから。猫風邪を患っているので、もしかすると失明するかもしれないとのこと。男の子だったので、去勢と目の手術そのほかの治療を頼み入院。
ここで、ねこは現実に帰りましたよ。治療費、いくら?
たろさん、退院
数日後、たろさんは、無事に退院。
目の手術もうまくいったらしく、失明は免れました。いまでも、涙目になるし、瞳孔がゆらゆらしているけれど、家の中で暮らしていく分には問題ないみたいです。
治療費がいくらかドキドキしていると、隣のおじさんが、子猫を引き取ってました。



うわ~。ちょーかわいい子猫!ケガしちゃったんですか?
猫のことになると馴れ馴れしくなるねこ。おじさんに話しかけます。
おじさんは半笑い半泣きのような顔をして
「娘が拾ってきちゃって…骨折してたから入院して治療してもらって15万円…ボーナスが吹き飛んだよ。でも仕方ないね。可愛いし、うちで飼うんだよ」
って!もう、おじさんとその場にいなかった娘さんが神と天使に思えましたよ!



ほんと!ありがとう!きっとおじさんと娘さんには、良いことが起こりますよ!
で、ねこは、7万円を請求されましたが、おじさんのおかげで安く感じることができて、ちょっと心が軽くなりました。
現在のたろさん
現在のたろさんは、熟女たちにもまれながら我が家で元気にやっています。
ただ、猫娘を自分の救世主と思っているのか、猫娘のことが大好き!
とにかく、猫娘の後をついて周り、ストーカーの様。猫娘がトイレやお風呂に入るのでドアを閉めると、ドアをカリカリしてずっとドアの前で待っています。
ねこが話しかけたときと猫娘が話しかけたときの顔つきも違う。
だが、一言言いたい!
最初にたろさんを見つけたのは、ねこ!そして、捜索の時に見つけたのは弟!だということを声を大にして言いたい。
なにはともあれ、幸せで何より。そしてこれからも幸せで


ねこが、どんなに猫好きでも、人ひとりの力では、ほんの少しの猫しか助けてあげることはできません。
野良猫が可哀想だからとその場限りでえさをあげるのは、人間のエゴかもしれません。
猫が嫌いな人がいることだってわかっています。
それでも、ねこは思うんです。
「その日だけでも、お腹いっぱいで寝られたら」「その日だけでも、幸せな気持ちでいてくれたら」って。
あのときのシャムっぽい子は、生きているんだろうか。元気なんだろうか。一緒に保護してあげられたら…と考えるときもあります。
保護活動している団体に少しですが寄付をしたり、ウチに来る外猫を捕まえて去勢や避妊手術を施す…とねこなりにできることはしていますが、もし、ねこが神様なら、好きとか嫌いとかいう気持ちは脇に置いて、人間だけでなく、すべての動物がつらい思いをしない世界にしたいなぁ…と。